見えない世界で見えたもの
先日、友人にすすめられてDialog in the Darkに参加してきた。
http://www.dialoginthedark.com/
ダイアログインザダークとは、暗やみの中で五感をとぎすます研修。
私が参加したコースは、人事担当者向けのリーダーシップコミュニケーション。
暗やみの中、8名くらいのグループでいくつかのワークを体験した。
具体的に何をやったのかということは、これから参加する人のためにあえて書かないでおきます。
これは別の友人にも言われましたが、できるだけ先入観なしに参加したほうが新鮮な体験ができるので。
私がワークを通して学んだリーダーの役割は次のとおり。
- 何を目標とするのかしっかりとゴール設定をする
- 目標を達成するためのプロセスにおいては、先入観を捨て、視点を変えたり色々な見方をする柔軟性を持つ
- 成功体験をシェアする
自分が苦手なのは実は2)だということがわかった。
かなりアタマは柔らかくしていようといつも意識しているつもりだったのに、
いざ課題に直面すると先入観や固定観念にとらわれていて、せっかくすぐそこに見えている答えにたどりつけなかった。
自分のアタマが思ったよりずっと固くて衝撃!
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参加する前の疑問と期待。「暗やみのなかで何が見えるんだろう」
結論から先に言ってしまうと、私は暗やみの中では本質的なものが見えるのだと思った。
よく言われているように、人間は情報を自分にinputするのに、五感のうち視覚がその80%を占める。
その80%が閉ざされると当然、他の感覚を使おうとする。これは人間の生命としての本能。
視覚が使えないから、一生懸命他の感覚を使って、感じようとする。
脳と感性をフル回転させる感じ。そうするととても不思議なことに、ひとつずつのことに対してとても敏感になり、
真剣に感じ、考えようとする。
これは、大切なものは目に見えない、という言葉で表現されていることにも似ていると思う。
たとえば、人の印象。
通常、初めて人に会う場合、その人の顔、背格好から80%の印象を決めてしまう。
かっこいいとか可愛いとか。
でも見えない世界では、最初に、見た目のかっこよさとか可愛さでその人を判断することはしない。
そうすると、その人の話し方、言葉、感じていること、そういったことから、
その人がどういう人なのか判断しようとする。価値観や考えていること、その人自身の本質に近い部分。
だから人の話に真剣に耳をかたむけるし、自分も一生懸命伝えようとする。
「人にやさしくなれる」と感想を言った人がいたけれど、それは、
「人の話を一生懸命聞いて理解しようという気持ちが生まれる」からで、同時に
「自分も一生懸命伝えようとする」のだと思う。
「人に対する理解力」と「自分を表現する力」
これはコミュニケーションにおいてはかなり基本的なこと。
どちらもとても大切だけれど、実はあまり上手くない人が多いと思う。特に日本人は自分を表現する力。
あと他に気づいたこと3つ。
- 名前を呼ぶことの意味
- 暗やみだし知らない人ばかりだから、相手が誰なのかいちいち名前を呼んだり、
自分の名前を言ってから発言したりしていた。するとこれも不思議なことに
名前を呼ばれると親近感が増してくる。
こんにちは、というよりも、実子さんこんにちは、と言われる方が嬉しい。
ちょっとやってみてください、家族や同僚に対して。名前を呼んで声をかけてみて。
- 言葉づかいと話し方
- 人になにか伝えるときに言葉を選ぶのと同じで、話し方もとても大切だということ。
同じ言葉でも発する声の出し方によって、相手の受け取り方がちがう。
話し方は自己表現としてとてもとても大切。
- 自分との対話
- そもそも私は自分との対話ということを普段から無意識にやっていることに気づいた。
だから暗やみの中にいても、もちろん他人を全く意識しないわけではなかったけれど
自分というある意味いつも対話している相手がいるので、孤独感は感じなかった。
逆に、自分に向き合う時間が持てることへの安堵感。居心地の良さ。
少し話がそれますが、
子どもの頃、自分の意識とか人格とかが、自分の中にあるというのがとても不思議に思っていた時期がある。
自分なんだけど、その自分の気持ちとか感情が、どうしてそういう動きになるのか考えている、もう1人の自分。
常に自分に対して客観的な自分。
小学5年生か6年生か、そのくらいの時期だったと思う。
ん?これって二重人格?それって変?素直じゃない?どちらかの人格にしておくべき?
しばらく悩んで、そのとき出した結論は、自分の中に、もうひとりの客観的な自分を共存させること。
冷めているように見られることがあるのは、もう1人の自分のせいかもしれない。
でもきっと誰にでもいるのだと思う。もう1人の自分。その存在を認めるかどうかは別として。
さて話を戻して、最後のまとめ。今回の体験を通して、今後やってみたくなったこと2つ。
- 暗やみ合コン
- 婚活にもいいと思う。だって人間何十年もたったら見た目は変化していくでしょう。
結婚相手とはもっと本質的なところの価値観の共有が大切なんだから。
もちろん合コンじゃなくてもいいんです。
見た目で人を判断しないトレーニングのために。 - 暗やみUST
- 実は一度やってみたことがあるのだけれど、あえてUSTの画面は真っ暗で何もうつさず、
参加者は全員、普段とは別のtwitterアカウントで集まり、
設定したテーマに合わせて匿名で本音トークをするUST。
すっかりSNSは実名主義になってしまって、ネットで本音が語れない、
そんなストレスを抱えている人も多いだろうから、ニーズはあると思うし、ぜひまたやってみて、と友人からのリクエスト。
せっかくきっかけをもらったので何かしら形にしよう。
そしてDialog in the Darkから1週間たって、私はまた暗やみの世界に戻りたいと思っています。