三島、100歳! 対談:横尾忠則×平野啓一郎
なんという贅沢な時間だっただろうか。。
横尾さんから聞く話は、もういまそこに三島由紀夫がいるようで、とてもリアリティがあった。
三島さんと共有した時間の全てが僕には遊びに見えていました。
市ヶ谷での自決でさえ、遊びなんじゃないかと思う、と横尾さんは言っていた。
そう言いながらも、死後1年くらい海外にいた、というから、横尾さんはかなりのショックをうけたのだろうと思う。そのころはほぼ毎日、三島が毎回切腹する夢を見たという。そのくらいの衝撃だったのだろうなと。
横尾さんはとても可愛がられていたみたい。毎回説教されていた、というお話は、それはとても愛されていたからだろう。
同じく親交のあった高橋睦郎さんも登壇してお話してくださったのは、三島由紀夫は夢を見ることができなかった人だということ。そういう意味ではとても気の毒な人だったと。
絵でも詩でも、つくりながら自分で思いにもしなかったことに出会うことがあるのに、小説はそうではない。特に三島由紀夫は物語の結末を先に考えて書く人だった。三島由紀夫の作品の中に、登場人物が見る夢が出てくるけれど、夢なんてものは、無秩序なものなのに、夢ですら理路整然としている。
それと、横尾さんがしきりに話していたのは、とにかく自分のことばかり、の人だったということ。目立ちたがり屋で自己愛が強い。自決してもいまでも現世に未練があるんじゃないかと。
もしかしたら、いまでもこうして三島のことを語りたがる人がいるというのは、作品力ということもあるけれど、魂が現世にさまよっているのかもしれないなと思った。
今回、平野さんは完全に聞き手というか、横尾さんへの質問者に徹していて、「小説家はウソを書いて商売をしている」などと言われて苦笑していたけれど、素敵だったなー!
もう完全にファンです。平野啓一郎さん。
https://www.mfj.gr.jp/agenda/2025/01/14/2025-01-14_mishima_100_ans/index_ja.php