[KW004] 褒める、励ます

日本人って褒めたり励ましたりするのがとても苦手だと思う。
[KW002] 感性と直感でも書いたように、わたし自身も若い頃は表現することが苦手だったから、褒めるのもとても苦手だった。
中高時代の部活はとても厳しくて、褒められるなんてことは皆無で、叩かれてばかり。
そういったことを始めとして、とにかく若い頃は自分があまり褒められたり励まされたりした経験があまりないから、自分も褒め方や励まし方がわからなかった。

褒める励ますがすごい力になるんだと気づいたのは、会社員時代に(スポーツウェアメーカーのフェニックス)社員研修の一環でコロラドへ行ったときのこと。
その当時のフェニックスでは、社長が人間教育を重要視していて、
毎年社員の何人かが、コロラドのOutward Boundというキャンプに参加させてもらっていた。
私も新卒で行かせてもらったのだが、まあそのキャンプのハードなことといったら。。
コロラドのロッキー山脈を2週間、トレッキングするというコース。
トイレ無し、もちろん風呂シャワーには入れず、テントはタープのみ屋根無しで、ロッキーの山の中をキャンプして歩くのだ。
食料補給は中間1週間後に1回だけ。
チームメンバーは10名ほど。同行した日本人2名のほかは高校生や大学生のアメリカ人。
みんなそれなりにキャンプが好きでかなりの経験者。
明らかに自分はとても劣っていた。チーム内ではいつもビリ。
彼らからは本当に色々なことを学んだ。
そのうち、私にとって大きなことだったのは次の3つ。

1つ目。
私と同じように日本から参加した同僚が、初日から毎日帰りたい帰りたいと嘆いていた。すると大学生の女の子がこう言った。

「どうして帰りたいの?こんなに空も山も花も綺麗なのに!」

ああそうでした。自分のことばかり考えてたんです。体力がつらいとか、食べ物が無理とか。
でも自分の周りに広がるロッキー山脈の美しいことっていったら。
いま思ってもあの自然のスケールは本当に素晴らしかった。自分は二度とできない体験をしていたのだ。

2つ目。
どうしても自分はペースが遅くてチームの足をひっぱってしまう。
男子たちにスローだと言われても返す言葉がない。
すると先ほどの女子がこう言った。

「ジツコはスローじゃないわっ!みんなで荷物を分担すればいいのよ!大丈夫!」

男子たちは黙った。
すごいな、と思った。なかなか言えることじゃない。
実際、荷物の分担のときに状況がわかっているメンバーは、とても要領よく
大きいけれど重たくないもの、食べたら無くなって軽くなるもの、
などを持っており、要領を得ない自分などは、やたらに重たいフライパンなどを持っていたのだ。
でも発言する勇気がなくてずっと黙っていたところに彼女の一声。
チームで一番の男子が私のフライパンを持ってくれることになった。
そう、ちゃんと自分で発言して行動しないとダメなんです。
それを促してくれて励ましてくれた彼女。5歳くらい年下だったけど素晴らしい人だった。

そして3つ目。
とにかく高地なのとリュックが重い(アタマの上までの高さのリュック。20kgくらいあったと思う)
だからちっとも足が前に進まないのだ。
その日もあともう少しで今日の目的地につくのに、どうがんばっても足が前へ出なかった。
その時、おちゃらけタイプでいつもチームを乱していた高校生の男の子が言った。

「大丈夫。ジツコならできる。絶対にできる!」

ちょっと驚いた。あんまりそういうことを言わないような子に見えたから。
だけど彼の “You can do it!!” という言葉がどれほどの力になったことか。

アメリカ人というのはとにかく周りのことをよく見ていて、
前向きで人を励ますのに長けている。ほんとにすごい!
と素直に感激した。

恥ずかしがってる場合じゃない。いいんです、そんなに自分に自信がなくても。
でも人を励ますことはできるし、褒めることはできる。
励ましてもらったらがんばれるし、褒められたら誰だって嬉しい。

子どもに対しては意識して褒めている人は多いと思います。
ところがこれが大人同士だとなかなかやらない。
でも大人だって同じ。褒められたり励まされたら嬉しいはず。
これ、夫婦間でもとっても大事!

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