ものごとを観る目 聴く耳 捉える脳

いま京都でコラボレーションさせていただいている、デザイナーの大衡さんのblog記事
「デザイン脳」を読んでとても共感し、私も別の分野で似た教えを受けたことを思い出した。

勝手ながら大衡さんの言葉を引用させていただく。

こういう風なものの見方、捉え方、そして表現へと繋ぐ流れを習慣化してしまうこと。
逆に言うと常に素直にものを見られなくなってしまったデザイン病のような状態。
これを僕は「デザイン脳」と呼んでいます。

同じものを観てもそれをどう感じるか。
同じことばを聞いてもそれをどう考えるか。

こういうことは自分次第なんだと思う。

2年半ほど前、私は人前で話すことが上手くなりたいと思って、DJ TAROさん主催のラジオDJのワークショップに参加していた。
その時教えてもらったのが、大衡さんがおっしゃるのとまったく同じこと。
TAROさんは「話をする」プロ。
大衡さんはデザインでそれを表現するが、TAROさんは言葉で表現する。方法は違っても表現する、ということでは同じ。
ラジオはビジュアルがないから、その分、たとえばいま目の前にあるものがどういうものなのか、言葉と自分の感情で表現する必要がある。
ここで重要なのは、ただ単にボキャブラリーが豊富であればよいのではなくて、
自分の経験をもとに、自分の言葉でしっかり伝えないと、ラジオの前の人たちには伝わらないということ。
「自分の」目と「自分の」言葉。
そのためには、常に自分の周りにあるあらゆるものに関心を持ち、アンテナを立てて、積極的に自分の中に取り込んで行く必要がある。

一度TAROさんと街中を歩いていたら、TAROさんはちょっとしたものでもすぐ面白さを感じて、あれ何だろう?〜みたいだね、〜っぽいな、と、いちいち好奇心旺盛に食いつく。だからまっすぐ歩かないし、目的地にたどりつくのに時間がかかる。笑
いつものことじゃないのかもしれないけれど、ちょっとだけ驚いたのを覚えている。

少し話がそれるが、ワークショップで学んだことは他にもたくさんあって、1つだけ挙げると、
いかに相手に話してもらうか、相手の心の中に入っていくか、ということを教えてもらった。これはとてもよい経験になった。
私は基本、お客様のところにうかがってニーズを聞き、相手が期待する以上のものを提供するのが仕事だから、まず、お客様に心を開いてもらって話してもらわなければならない。

ラジオでいうと、ゲストが来てインタビューをする、というシーン。
当然のことながら、前情報があまりない、ものすごく気難しい人、自分とは全く違うジャンルにいる人、そういった人たちもゲストに来る。
その時にどうしたら良いかというと、とにかく相手と自分との共通点を探すのが良いとのこと。
相手の関心のあること、好きなことを話題にしてみる。
なるほど、と思い、実践しようとすると、これができるようになるには、自分もいつも色々な話題を持っている必要があるということだとわかった。

もともと自分は好奇心があるほうで、新しいものも好きだし、どちらかというと広く浅く色んなことを知りたい、やりたいタイプ。
だからさらに好奇心をもってアンテナを張る。
そして目で見えるもの、聴こえてくる言葉をしっかり自分の中に取り込んで、色々な経験をする。
あとは、表現する力。それがあればいい。相手に伝わるように表現する自分独自の力。

まだまだ思うように表現できていないし、相手に伝わらなくて悔しい思いをすることもしばしば。
でもたぶん懐が深い人、人間が深い人というのは、きっとものごとを観る目からして違うのだと思う。
聞く耳が違う。そして捉える脳が違う。

散文になったが、強引にまとめよう。

大事なのは、目と耳と脳。これはおそらく何歳になっても、逆に歳をとればとるほど、意識していかなければならないだろう。
歳をとってもじゅうぶん、鍛えていける。成長できる。

子どもたちには自分で意識できるようになるまでは、私ができるだけ多くの美しいものを見せよう。そして観る力を養ってほしい。
色々な話をしよう。そして聴く力を養って欲しい。そしていつかそれらを捉える脳を自分で持って欲しい。

経験からしか学べない。成長しない。

紅葉が色づいてきました

嵐山天龍寺にて。子どもたちと見た京の夕ぐれ

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